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西原 哲夫
原子力システムニュース, 33(2), p.17 - 21, 2022/09
高温ガス炉は優れた安全性を有し、多様な熱利用が可能な次世代原子炉として世界各国で開発が本格化している。原子力機構(旧原研)では昭和44年から高温ガス炉の研究開発を開始し、HTTRの設計,建設,運転を通して、実用化に向けた技術を蓄積してきた。2021年、新規制基準対応が完了してHTTRの運転再開を果たし、さらに水素製造技術の実証に向けたプロジェクトも開始した。本講演では、原子力機構で進めている高温ガス炉開発の現状と今後の計画について紹介する。
石田 順一郎
原子力システムニュース, 24(1), p.17 - 23, 2013/06
原子力機構は平成23年3月11日の東日本大震災発生直後、災害対策基本法に基づく指定公共機関として、理事長を本部長とする事故対策本部を立ち上げ、また、同年5月には、福島における諸業務を一貫して実施する組織として、現在の福島技術本部の前身である福島支援本部を立ち上げた。本組織を中心として、これまで機構内各拠点・部門からの協力を得て、環境モニタリングや各種除染実証試験などの環境修復や福島の復興に向けた取り組みを継続して実施しており、これまで福島を中心に福島環境安全センターが展開してきた四つの活動((1)環境における放射線状況を把握するための「環境モニタリング・マッピング」、(2)除染モデル実証事業の概要、(3)環境回復に向けた研究開発、及び(4)情報発信)の要点を概説する。
柳澤 和章
原子力システムニュース, 19(2), p.30 - 34, 2008/09
放射線利用の経済規模は、一部又は全部を放射線利用することで完成した製品の出荷額(Shipment)を、公開データ等により単年度ベースで求めて金銭表示した結果である。内閣府から委託された調査の結果によれば、生活基盤を構築する原子力発電の経済規模は4兆7,410億円であり、9電力5万人余の従業員が働いている。一方、放射線利用の経済規模は4兆1,117億円である。原子力利用は8兆8,527億円、エネルギー利用と放射線利用の割合は54%:46% (前回平成9年では61%:39%)となっている。まさに両者は車の両輪となって本体(日本経済)を支えていることがわかる。原子力利用の合計値約8兆8,500億円は、対GDP比1.8%である。
河田 東海夫
原子力システムニュース, 18(4), p.18 - 25, 2008/03
地層処分研究開発の最近の進捗状況について、事業段階における研究開発の全体的な枠組みを概説するとともに、「第2次取りまとめ」以降に実施してきた研究開発の内容を、深地層の科学的研究と処分場の工学技術の観点から述べた。
更田 豊志
原子力システムニュース, 17(1), p.5 - 10, 2006/06
反応度事故(RIA)時における軽水炉燃料の挙動について、動力炉開発の黎明期に米国で行われた試験を紹介したうえで、RIA時燃料挙動の概略,RIA指針(発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象に関する評価指針)及びRIA基準部会報告(発電用軽水型原子炉施設の反応度投入事象における燃焼の進んだ燃料の取扱いについて)それぞれのベースとなった実験の成果などについて解説する。
田島 俊樹
原子力システムニュース, 16(4), p.5 - 9, 2006/03
レーザーは位相の揃ったボース・アインシュタイン凝縮している量子ビームである。こうした量子ビームの量子的性質を利用することで、従来手の届かなかった新しいサイエンスが開ける。例えば、物質の量子制御である。この方法を使うことで、同位体を含む種々の物質の選択的励起をできる。これらは原子力の廃棄物処理の際の分別や化学工業などに重要な役割を果たすであろう。
吉井 文男
原子力システムニュース, 15(2), p.31 - 37, 2004/09
最近技術移転した3つの製品について紹介する。(1)セルロースの誘導体であるカルボキシメチルセルロース(CMC)が濃度10%以上のペースト状照射により橋かけ反応を起こすことを見いだした。そのゲルを充填したマットが床ずれ防止に有効であることを実証し、民間企業が昨年の5月から販売を開始した。(2)橋かけ助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加したポリ乳酸は、30kGyの比較的に低線量で橋かけし、耐熱性が向上したため、熱収縮チューブに応用できた。(3)ポリビニルアルコールを主成分とする電子線橋かけハイドロゲルが創傷被覆材に有効であることをゲル物性測定や臨床試験から明らかにし、実用化した。
平尾 和則
原子力システムニュース, 15(3), 0 Pages, 2004/00
電気事業分科会、長計改定審議、シカゴ大報告書等、最近の国内外における原子力発電経済性評価事例の概要について述べた後、同評価手法のポイント並びに今後の動向について記した。また、参考情報として、実用化戦略調査研究の経済性評価並びに筆者が参加している第4世代原子力システム経済性評価モデル作成WGの活動概要について簡単に紹介した。
渡辺 宏
原子力システムニュース, 11(2), p.40 - 44, 2000/09
昨年から今年にかけて高崎研究所に2つのベンチャー企業が誕生した。放射線利用ではこれまで多くの実用化を果たしてきたがベンチャー企業は生まれなかった。ベンチャー企業が生まれてこなかった背景を考察し、今後の放射線利用の展開の中でベンチャーが育つ要因について述べる。
田中 隆一*
原子力システムニュース, 11(1), p.14 - 20, 2000/06
原研が中心となって放射線利用の国民生活へ与える影響を、工業、農業及び医学・医療の3分野における工場出荷額や診療費で表される経済的規模に重点を置いて多面的かつ定量的に評価する調査を科学技術庁からの委託により実施した。調査の対象年は、入手できる公開統計データ等の刊行時期の関係から、平成9年度となった。(1)調査の結果、半導体加工(経済規模は約5兆円)を除外した狭い意味での放射線利用の経済規模は工業、農業及び医学・医療合わせて約3兆円で、原子力発電による電気売上(約6兆円)の半分程度であることがわかった。(2)半導体加工を含めた広い意味での放射線利用については(約8兆6千億円)となり、原子力エネルギー利用(総額で約7兆3千億円)よりも大きくなることがわかった。
向山 武彦
原子力システムニュース, 11(1), p.5 - 13, 2000/06
大強度陽子加速器を用いる核破砕中性子及び加速器駆動未臨界炉について簡単に解説をし、次いで加速器駆動未臨界炉技術開発の現状について紹介する。現状紹介においては原研・KEKが協力して推進している「大強度陽子加速器計画」について、その経緯、目的、施設概要について述べる。また、ヨーロッパ、米国等における研究活動について紹介する。
安濃田 良成
原子力システムニュース, 10(1), p.12 - 18, 1999/00
ROSA計画は、LOCA時の原子炉内の熱水力挙動、特にECCSの有効性やそれに及ぼす各種因子の影響を把握し、LOCA時における原子炉の安全裕度を定量的に評価し、解析コードを開発・検証する目的で、1970年以来約30年間、研究の重点を移しつつ実施されている。現在は、その第5期目のROSA-V計画を実施中であり、おもにシビアアクシデント防止など次世代軽水炉の安全性に関する研究を行っている。その研究の一環として、米国原子力規制委員会との国際協力により、次世代軽水炉AP600の安全性確証試験をROSA計画大型非定常試験装置(LSTF)を用いて実施した。確証試験の結果、AP600の受動的安全系がおおむね予想通りに作動し、炉心冷却が維持されることを確認した。また、種々の重要な現象が確認されたが、炉心の冷却性に問題を及ぼすほどではないことが確認された。
徳永 興公
原子力システムニュース, 9(1), 6 Pages, 1998/06
電子ビーム排煙処理について、脱硫・脱硝反応プロセス、除去特性、排煙処理の基本プロセス、他の方法と比較したときの経済性等の特徴について述べるとともに、基礎的研究、工学的研究開発のこれまでの経緯についてまとめた。さらに、上記基礎的研究・パイロット試験等の工学的検討をふまえて現在進展している実用規模プラントによる実証試験の現状について最新の状況をまとめた。
向山 武彦
原子力システムニュース, 8(4), p.34 - 43, 1998/03
原研が推進している中性子科学研究計画について概説したものである。内容は、1.計画の経緯・背景、2.核破砕中性子源、3.研究分野、4.施設構想、5.開発スケジュール、6.まとめである。
竹下 功
原子力システムニュース, 7(4), p.30 - 36, 1997/03
平成7年初めより行ってきたNUCEFのホット試験における主な成果と今後の計画を概説した。STACYによる臨界実験では、10%濃縮ウラン硝酸溶液を用いた円筒炉心での一連のシリーズを完了し、解析コードの検証作業も並行して行われ、着実に成果があがっている。TRACYでも世界的にも初めての低濃縮ウラン硝酸溶液燃料による過渡臨界試験が開始され、臨界事故時の放射性物質の閉じ込めに係わるエアロゾル測定にも着手した。群分離を含む高度化再処理プロセス等、バックエンド研究施設による実験は、ウラン、RI等を用いた予備的試験が行われ、平成9年度後半から実際の使用済燃料等を用いた本格的な試験に入っていく計画である。
辻野 毅
原子力システムニュース, 6(3), p.15 - 20, 1995/12
天然資源の乏しい我が国にとって、核資源はもちろん可能な限り廃棄物のリサイクルは必要であり、資源の有効利用を計りつつ、より一層の環境の保全、核拡散防止及び経済性の向上が求められている。放射性廃棄物の管理を一層合理的なものとし、サイクルシステムとして整合性のとれたものとするため、発生源における超ウラン元素(TRU)の高度分離(Partitioning)とリサイクル(Recycle)、TRU核種を含む廃棄物(TRU廃棄物)の処理(Disposal)が重要である。将来的には、大強度加速器等の開発と相まって、TRUの消滅(Trans-mutation)が考えられる。ここではTRUに係る原子力バックエンドシステムの討論に資するため、まずTRU廃棄物の特徴と当面における研究開発課題について述べ、ついで原研における研究のねらいと進め方、最近における成果の一例と今後の展望について紹介する。
向山 武彦
原子力システムニュース, 6(1), p.5 - 14, 1995/06
消滅処理技術の現状についてまとめたものである。内容は、消滅処理の目的、消滅処理のためのシステム、特に原子炉を用いた消滅処理、加速器を用いた消滅処理システムの特徴と技術課題、原研における消滅処理研究の現状についての紹介、群分離・消滅処理研究開発の内外の動向について解説した。
半田 宗男
原子力システムニュース, 6(1), p.20 - 24, 1995/06
講演では、はじめに、窒化物燃料の特性をMOX燃料及び金属燃料と対比させて紹介した。続いて、窒化物燃料高速炉の最近の設計研究、ゾル・ゲル法による硝酸溶液から直接的に粒子状窒化物燃料の製造研究、ウラン・プルトニウム混合窒化物燃料の照射挙動、ネプツニウム窒化物の製造及び特性測定等について報告した。最後に、窒化物燃料の高温化学再処理の熱力学的解析及び窒化ウランの溶融塩電解によるウラン金属の回収について述べた。また、窒化物燃料と溶融塩高温化学再処理を組み合わせた高速炉、専焼炉及び加速器を利用したマイナーアクチノイド(ネプツニウム、アメリシウム、キュリウム等)の消滅に適用可能な核燃料サイクルの研究の現状及び問題点について討論した。
徳永 興公
原子力システムニュース, 3(2), p.17 - 19, 1992/09
今年6月より本格的運転を開始した都市ごみ燃焼排煙処理のパイロット試験について、パイロットプラントの概要、パイロット試験内容を紹介するとともに、都市ごみ燃焼排煙処理の現状、過去三年間にわたって実施した電子ビームによる都市ごみ燃焼排煙処理の基礎試験の結果について述べる。